普天間返還合意から四半世紀

 米軍普天間基地の全面返還に日米政府が合意してから今日(4月12日)で、25年を迎えた。当初は5~7年のうちに返還することになっていたが、その数倍の年月がかかっても返還の見通しすら立っていない。原因は、「辺野古移設が唯一の解決策」を繰り返すことしかできない硬直した政策運営だろう。新型コロナウイルス対策として感染拡大から1年以上が経過しながら、飲食店に対して営業時短を要請し、一般国民には「不要不急の外出を控えて」と呼びかける以外に、目立った政策が出てこないこととまったく似通っている。

 そもそも沖縄の負担軽減を謳いながら、県内移設の方針を決めたところに根本的な矛盾がある。しかも、歴代の首相や防衛相がたびたび沖縄を訪れ、判で押したように「辺野古移設が唯一の解決策」を口にするものの、なぜそうなのか明快な説明はない。とても県民に理解してもらおうとしているとは思えない。表立って説明できないというのが本音に違いない。県内移設ならば反発は沖縄だけに留まるが、県外に移設となれば移転先やその周辺から、沖縄以上に強烈な反発が予想される。もともと普天間基地に駐留する海兵隊は本土から移転してきたのであり、移送手段の発達した現代において本土に戻れないはずはないが、移転先の反発を恐れて政治が決断できない。まったく新型コロナ対策と同じ構図がここにある。(T)

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