郷土の歩みを後世に伝える情熱   比嘉繁三郎著『津堅島の記録』

 津堅島はうるま市に属するから、タイトルを考えれば一種の字誌かなと想像するが、本書を開いて寄稿文や奥付に注目すれば著者個人が自費で出版した著作物とわかる。しかし、ページ構成には自分史のにおいはない。村落の形成から始まって、部落の行政・産業、教育の歩み、海上交通、年中行事、芸能、方言など島の文化・歴史・民俗全般を網羅し『津堅島誌』と題してもまったく不自然ではない。相当の時間と労力を費やしたことが推し量れる。発行は1990(平成2)年とあり、島の風景や人が戦後の大きな流れに押されて変わる中、個人の思い出よりも郷土に関する記録を少しでも後世に伝えたい。そんな情熱を本書に注ぎ込んだのかもしれない。

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