群雄割拠のダイナミックな歴史観からの転換 吉成直樹著『琉球王国は誰がつくったのか』

 三山鼎立から沖縄本島が統一され琉球王国が成立する歴史を、本土の戦国時代に何となくなぞらえてきた。英雄たちが割拠し覇を競い戦う物語はひきつけるものがある。NHKの大河ドラマでは戦国時代が頻繁に登場するのも、同じ理由だろう。しかし、魅力的な「歴史」ほど慎重に扱う必要がある。話を面白くして一般の人々に受け入れやすくした要素が紛れ込みやすい。場合によって時の政治の流れに沿うような要素が織り込まれる可能性もある。

 本書では、琉球王国建国の前夜には、王国の創始者たちが九州からやってくるなど倭寇の影響を大きく受け、三山といっても王国と呼べるような内実を供えていなかったとする説を有力視。沖縄社会が内なるエネルギーを蓄えて独自に発展し三山鼎立から統一を成し遂げたとする従来の歴史観からの転換を迫る。今はやりの表現をすれば「シン・琉球王国」となろうか。(T)

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