来方神の芸能をめぐる謎

 ひとまずコロナウイルス関連の規制が全面的に解除され、沖縄でも各種の催し物や祭りが復活する見通し。何とも嬉しい限りだ。おそらく他府県と比べても沖縄は地域ごとに特色のある祭りや芸能が豊富といえよう。その中でも異彩を放つのがフェーヌシマ(南の島)とダートゥーダだろう。フェーヌシマは沖縄各地で継承されているが、地域によって衣装や踊りが異なる。かつらをつけていることや、棒を持っているものの棒術というよりは儀式的な要素が濃いことなどが共通点のようだ(写真は北中城村熱田のフェーヌシマ)。ダートゥーダは口先の尖った黒い面をつけて数人が踊り、沖縄の芸能の中でもかなり異色な存在であるが、フェーヌシマの流れをくむという指摘もある。

 当然、これらの芸能は専門家の興味を引き、須藤義人著『マレビト芸能の発生』や黒島精耕著『ダートゥーダ探訪の旅』といった著作がある。両書に共通するのは、フェーヌシマやダートゥーダの源流を熊野に見ている点である。天狗や修験道など山岳信仰が基層にあると考える。確かに、フェーヌシマやダートゥーダを演じる者たちのアクロバットな動きや荒ぶる神を思い起こさせる所作は、天狗や修験道者に重なるものがある。そもそも、ありのままの自然を聖地とみなす沖縄の御嶽信仰は、熊野の山岳信仰に近いかもしれない。疑問が残るのは、なぜ距離的に遠く離れた熊野の文化が沖縄に伝わったか。専門家の研究を待ちたい。(T)

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