リアルな動きの沖縄獅子舞

 沖縄は獅子舞が盛んな地域であり、秋の豊年祭に演じられることが多い。沖縄探見社の『沖縄伝統行事・芸能を歩く』では次のように解説している。

「 全島獅子舞フェスティバル」で演じられる各地の獅子舞

 「関東地方で生れ育った著者にとって、獅子舞といえば、正月に登場し、ユーモラスさが入った赤ら顔の獅子頭を、草色の大きな布をかぶった一人の男性が操る。動きは、音楽に合わせて体を揺らし、様式化された踊りである。

 これに対して沖縄の獅子舞は、ユーモラスというよりは精悍な顔つきに、体は全身が長い毛に覆われ、大きな獣のような容貌。中では二人が一組となって、犬やライオンなど現実の動物を彷彿させるリアルな動きを演じる。チャイナタウンで演じられる獅子舞とかなり異なる。舞う時期も、厄払いや五穀豊穣を祈願してお盆(旧暦七月十五日)や秋の豊年祭(旧暦八月十五日など)が多い。沖縄本島北部から八重山地域まで幅広く分布し、県内に百八十の獅子舞が存在するといわれる(★1)。

 毎年うるま市で開催される「全島獅子舞フェスティバル」(※)は、地域によって獅子のデザインや踊り方に特色があることを実感できる貴重な機会だろう。さまざまな地域の獅子舞が披露される。

※全島獅子舞フェスティバル

旧暦九月十五日に近い日曜日、うるま市教育委員会の主催で開催。県内の数団体の獅子舞が招かれ披露される。県外の獅子舞や獅子舞以外の芸能が上演される。近年、開催地はうるま市安慶名闘牛場だが、年によって変わる可能性あり。開催日も必ずしも旧暦九月十五日に一番近い日曜日とは限らないので、観覧希望の場合は要確認。

★1:大城學「沖縄の獅子舞と獅子神信仰」『季刊 東北学』(東北芸術工科大学東北文化研究センター 二〇〇七年七月)」

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