琉球王朝絵巻行列に見る中国の影響


首里城復興祭として那覇市の国際通りで11月2日午後、琉球王朝絵巻行列が繰り広げられた。最初に国王・王妃を中心とした行列(写真・左)が現れ、続いて、中国皇帝の名の下に琉球の国王を任命するために中国から派遣された冊封使の一団(写真・右)が続いた。琉球王国の国王や官僚たちの衣装や装備品は清の時代のせいか冊封使との違いが目についたが、同時代の日本と比べた場合、中国の影響は否定できないだろう。
ぱっと見ての印象では国王の家来たちが身につける服は日本の男性の着物のように思えるが、国王の衣装は中国的に感じる。一方、王妃の衣装は日本の女性の着物をイメージさせる。国王が乗る輿には中国的な龍の絵や彫刻が施される。お供が鳴らす楽器や手にする装備は中国的かもしれない。
現在復元中の首里城正殿も、中国の紫禁城をベースに日本建築の要素を加え独自色を出したといわれる。どうやって中国や日本とは異なる文化を生み出すか。行列を構成する国王や官僚たちの衣装や装備品を見ても試行錯誤を繰り返したのではないかと想像したくなる。
もとをたどれば日本文化そのものも中国の強い影響を受けてきたが、日本文化の優秀性を強調するあまり近年はその点に触れたがらない人が多くなっているように思える。国際的な緊張関係が高まりがちな今だからこそ、外国文化の影響を受けながら自国文化が成り立っていることを忘れてはならないだろう。

