地元志向の強い沖縄

 就職活動が解禁となる今の時期、仕事の関係で就活中の学生にインタビューするが、沖縄の若者と話していて、自分の時代とは違うなと感じることがある。東京志向がほとんどないことだ。「できれば地元にいたい」「県外の就職は考えていない」。地元から離れたくないと言った方が正確だろう。

 自分が10代の頃は埼玉県北部の田舎町で,東京に出ることばかり考えていた。東京に対する憧れが強かった一方、活気のない地元の町は自分を縛り付け可能性を閉ざす枷(かせ)でしか思えなかった。自分のような若者が地方をさびれさせただろう。ただ、過疎化を推し進めたのは雇用の不足や所得の低さなど経済的な要因ばかりではあるまい。全国的には出生率や人口増加率が高い沖縄県は、失業率が高く所得も低く経済的には恵まれた地域とは言えない。

 最近は地元を見直す傾向が全国的にあるという時代の変化もあろうが、沖縄の場合、時代の風潮というより、もともと東京をはじめ県外に出ることをほとんど考えず、県内にとどまることが当たり前で育った人が多いように思われる。こうした気風には、地域や血縁のつながりの強さが反映していることは間違いない。離島や本島の田舎にかぎらず都市部でも祭りが催され、小さい子供から年配者まで同じ行事を盛り立てる風景を目にできる。(T)

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