政治的中立とは何か

 沖縄の戦後史を振り返るとき、教職員活動を外すことはできないだろう。福地曠昭『教育戦後史開封 ―沖縄の教育運動を徹底検証する―』が語るように、米軍は沖縄統治や基地管理に少しでも妨げになると認めれば、容赦なく沖縄住民を排除しようとした。それに住民側が対抗できる唯一の手段が団結し意志を表明することだった。1972年の沖縄の本土復帰も、住民側の意志表示がなければ実現しなかっただろう。教職員は民間企業や他の公務員に比べ自分の意見を発言しやすい上、子供たちへの影響力も大きく、沖縄の市民運動では大きな力を持った。実際、沖縄の本土復帰後、最初の県知事になったのは、沖縄教職員会長を務めた屋良朝苗だった。

 近年、こうした意志表示は特に教育現場では「政治的中立性」を損なう、「偏向している」として非難される傾向にある。では、政治的に中立とは何か。意志表示をしないことになる。時の政権が誤らないと、どうしていい切れようか。政権側は「法にのっとり適切に対応している」を繰り返し、メディアも本当に「適切」かどうか検証せず、政権側の主張を垂れ流す場面が多い。(T)

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