2025年5月23日 / 最終更新日時 : 2025年5月23日 okihon-ya 本の紹介 分断と頑迷の時代は繰り返すか 霜多正次『虜囚の哭』 集英社クリエイティブ編『戦争と文学8 オキナワ 終わらぬ戦争』から③ 終わりの場面を読みながら現代でも同じ悲劇が繰り返されているのではないかと思った。小説の舞台は戦争末期から米軍統治の初めにかけての沖縄。主人公は戦前・ […] 共有:TwitterFacebook
2025年5月16日 / 最終更新日時 : 2025年5月16日 okihon-ya 時の話題 今もくすぶる沖縄戦をめぐる歴史観の溝 昨日(5月15日)は沖縄の本土復帰記念日だったが、今年は53年と節目の年ではないせいもあって県外ではほとんどメディアで報じられることはなかった。代わりにではないが、自民党の西田昌司参議院員が「ひめゆりの塔」の展示資料を […] 共有:TwitterFacebook
2025年5月7日 / 最終更新日時 : 2025年5月7日 okihon-ya 本の紹介 死生の忌みと念仏 高取正男著『宗教民俗学』③ 精神的な不浄や穢れという概念はどこから来るのだろうか。科学的な思考が広まった現代でも消え去る気配はない。この概念の出どころを一語で言い表すことは難しいとしても、著者は国内に広まる要因として仏教の念仏を挙げているところが […] 共有:TwitterFacebook
2025年4月27日 / 最終更新日時 : 2025年4月27日 okihon-ya 本の紹介 戦争が残した狂気と欲望 又吉栄喜著『ギンネム屋敷』 集英社クリエイティブ編『戦争と文学8 オキナワ 終わらぬ戦争』から② 何とも後味の悪い小説である。主要な登場人物は、片足を失い酒に溺れる「おじい」、まともに働くことを厭う若者「勇吉」、若い女性を水商売で働かせてヒモ状態 […] 共有:TwitterFacebook
2025年4月17日 / 最終更新日時 : 2025年4月17日 okihon-ya 本の紹介 山人が出現する近代以前の日本 高取正男著『宗教民俗学』② 本書の前半に掲載される「宗教と社会」や「村を訪れる人と神」で興味深いのは、近代以前の日本では農耕・定着生活を選ばない人々が相当数いたという指摘だ。学校の日本史では、大陸から稲作文化が伝わると日本人は農耕・定着生活に入り […] 共有:TwitterFacebook
2025年4月11日 / 最終更新日時 : 2025年4月11日 okihon-ya 本の紹介 日本に組み込まれる違和感 集英社クリエイティブ編『戦争と文学8 オキナワ 終わらぬ戦争』① 戦争文学といえば、戦争の悲惨さや非情さがテーマになることが多いが、沖縄で戦争を描く場合、日本に対する敵意や日本に組み込まれる違和感が際立つことが特徴かもしれない。明治期初期、琉球王国という独立国家から日本に併合され、沖 […] 共有:TwitterFacebook
2025年4月3日 / 最終更新日時 : 2025年4月3日 okihon-ya 本の紹介 思わぬ結末に唖然 梁石日著『血と骨(上・下)』④ 人の幸福や生きる意味とは何かを問う。人間的な成長や和解にたどり着く。そう期待して読めば本書には完全に裏切られる。描かれるのは、絶望の淵に追い込まれ、憎しみ、怨念、貧困、欲望の限りない連鎖でしかない。何の希望も見いだせな […] 共有:TwitterFacebook
2025年3月3日 / 最終更新日時 : 2025年3月3日 okihon-ya 本の紹介 壮絶な在日朝鮮人の戦前・戦後史 梁石日著『血と骨(上・下)』③ 凶暴で自己中心的な金俊平の存在は上巻の後半部分から徐々に薄くなる。このままフェードアウトするのかと思えば、ぱっと現れて人助けに走る一方、家族に対して激しい暴力をふるう。そして、いままでとは打って変わり突然、独自の事業に […] 共有:TwitterFacebook
2025年2月21日 / 最終更新日時 : 2025年2月21日 okihon-ya 本の紹介 宗教の向こうに荒廃した地方 高取正男著『宗教民俗学』① 本書の最初に登場する「幻想としての宗教」が興味深い。宗教は単に人間の頭の中にあるだけの幻想と断じるのではなく、近代以前の日本に関する記録から宗教が生まれる過程の仮説を裏付けようとしている。特に農村はたびたび飢饉に襲われ […] 共有:TwitterFacebook
2025年2月15日 / 最終更新日時 : 2025年2月15日 okihon-ya 本の紹介 正義を根本から揺るがす時代 ベンジャミン・クリッツァー著『モヤモヤする正義』① もともと一点の曇りのない正義など存在しないのだろう。しかし、近年の社会問題をめぐる議論では、ほとんど揺るぎないと思われた「正義」が揺らぎ始めた。1つにはネット社会の到来が大きいだろう。これまでは新聞、雑誌、書籍などの紙 […] 共有:TwitterFacebook