長く険しい沖縄「自立」への道 仲村清司・宮台真司著『これが沖縄の生きる道』

 米軍基地反対の声をあげても、なかなか幅広い共感を得にくい時代。基地反対派も容認派も無関心派も、表面的には意見も考え方も生き方も相いれないように見えても、「なぜ、そう考えるか」をどんどん掘り下げていけば、共有できる感覚や思いに突き当たる。そうした感覚や思いをもとに合意形成をすれば、基地に頼らない沖縄県のあり方と未来構想を描けるはすである。本書の要旨をこんなふうに受け取った。

 しかし、著者たちも承知の上とは思うが、この国は予算配分や権限の力を最大限に活用し、住民や自治体が基地に頼らざるを得ないように「育成」をしてきたことは間違いない。基地以外でも、人材育成などソフト面よりも箱モノ・ハード面を重視し、創意工夫する力を奪う傾向にあったことは否定できまい。本書が解くように基地反対、容認だけに囚われない意見づくりが欠かせない。それと同時に、各方面の専門家の英知も集め、国と地方における予算や権限の配分とともに、米国のぴったり後に続く外交・安全保障政策を見直さないことには、新しい沖縄の未来も開けてこないだろう。(T)

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