不安定な若者の未来 桐野夏生著『メタボラ』②

 主人公が転がり込むのはバイトで食いつなぐ「自由な」若者の世界である。最初は一つのアパートやマンションを複数で借りるシェアハウス、次に、見知らぬ同士が一部屋に泊まる「ゲストハウス(ドーミトリー)」だ。私も30代前後の一時期、体験した生活である。今となっては赤の他人と同じ部屋で寝起きすることは耐え難いが、仕事に縛られることなく、さまざまな人と出会い自由に暮らしたいというエネルギーゆえに若い時には可能だったのだろう。20代らしき本書の主人公は、置かれた状況のために同じ屋根の下で繰り広げる若い自由な雰囲気を楽しむ気にはなれない。自分の過去はあやふやではっきりせず、今を生きることに精いっぱい。現実離れした別世界に漂う若者たちにむしろ冷めた視線を送る。

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