首里城に注がれた労力と資材を考える
2022年11月に着工した首里城正殿の復元工事は26年秋の完成を目指し、いま折り返し地点を迎えている。屋根や外壁など骨格部分はほぼ完成し、これから塗装や内装が進められるようだ。正殿は高さ18メートル、幅29メートル。国王の権力を象徴する中心的な建物としては決して大きいとは思えないが、工事現場で6万枚の赤瓦が並ぶ屋根を見ただけでもその迫力に圧倒される。屋根の重みを支えるため、513本の柱や梁が使われているという。
写真は1年前に撮影したが、かなりの高い密度で柱や梁が組み込まれていることが分かる。主要な柱は長さが7メートルを超え、建設には大木が相当数必要だ。22府県から材木が集められたそうだ。現在のように潤沢な資金を調達でき広範囲の地域から資材を輸送し重機を利用できる時代でも、正殿の建設は一大事業である。
王国の歴史を振り返ると、正殿は3回の火災による焼失(今回と沖縄戦による焼失を除く)を含むと少なくとも7回は建て直されているという。江戸中期でも琉球王国の人口は十数万程度だったと推計される。しかも輸送手段や建設資材の限られた王国において、首里城の建設・修復にどれほどの人力や資金が費やされ、どれほどの人民の負担になったか怖ろしいものを感じる。