思わぬ結末に唖然 梁石日著『血と骨(上・下)』④

人の幸福や生きる意味とは何かを問う。人間的な成長や和解にたどり着く。そう期待して読めば本書には完全に裏切られる。描かれるのは、絶望の淵に追い込まれ、憎しみ、怨念、貧困、欲望の限りない連鎖でしかない。何の希望も見いだせない。戦後日本人が戦後復興や高度経済成長に酔いしれる中、同じ国内で朝鮮出身の人々が生きた戦後である。著者はそう語りたかったのだろう。
それにしても、主人公の金俊平が迎える最期は思わぬ展開だった。まったく予想しなかった。著者の意図を測りかねると思ったが、体の不自由に陥り絶望に陥った金俊平が当時の状況で見いだせる唯一の希望がそこにあったのかもしれない。金俊平と完全に決別しながらも、息子・成漢が最後の場面で自分の「血と骨」を改めて意識するが、それを希望や和解とは呼べまい。むしろ宿命や呪いに近いのかもしれない。