日本に組み込まれる違和感 集英社クリエイティブ編『戦争と文学8 オキナワ 終わらぬ戦争』①

 戦争文学といえば、戦争の悲惨さや非情さがテーマになることが多いが、沖縄で戦争を描く場合、日本に対する敵意や日本に組み込まれる違和感が際立つことが特徴かもしれない。明治期初期、琉球王国という独立国家から日本に併合され、沖縄戦でも他地域とは異なる扱いを受けたことが大きく影響していよう。戦後も全国の米軍基地が集中することもあって、「日本」に対する違和感は減少しながらも残っていると言えるだろう。

 本書に掲載された「海鳴り」は、まだまだ日本への違和感が強い明治期の沖縄で徴兵拒否を向かった夫婦の物語である。他県などを舞台にした戦争文学では、徴兵拒否を中心に描くものは少ないかもしれない。理不尽と思いながらも徴兵に応じるのが当然になっていたのだろう。国のために兵士として戦うとは何か。国際的な緊張関係が高まり実際に武力衝突が起きる今だから、沖縄の視点から問い直すことは大きな意味があろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です