姿を現した首里城正殿

 復元工事のために首里城正殿を覆っていた素屋根が取り外されたと聞いて、久しぶりに首里城を訪れてみた。まだ周囲を屏で囲まれ中には工事用車両などが雑然と並ぶが、かつてと同じ正殿の姿を遠巻きながら眺めることができた。

 2019年に火災で焼失するまで長い期間見てきたせいか、復活したというより、どこかに隠れていたものが再び現れたという感覚だ。新たに分かった事実や資料をもとに、焼失前とは異なるデザインを施した部分もあるそうだが、ぱっと遠くから見た印象はかつての正殿だった。ただ、瓦を固定する漆喰は以前とは違って真っ白であり復元されたことを思い起こさせる。

 素屋根で覆われた工事期間中は観光客が近寄って工事の模様を間近に観察でき関連資料も豊富に展示されていたが、素屋根が取り払われ正殿が仕上げの段階に入ったため、近寄れなくなり観光の目玉がなくなった印象はぬぐえない。一概にいえないが、今日訪れた印象では観光客の数は減ったようだ。完成して正式公開するまでのあと1年、「見せる復興」を掲げる首里城サイドには「工事中、近寄るべからず」の常識にとらわれない工夫が欲しいところ。

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