見えにくい基地と女性の関係
中国や北朝鮮との緊張関係の高まりを背景に、わが国では軍事力が存在感を増している。「隣国に対抗してもっと軍事力を強化せよ」や「攻撃される前に攻撃せよ」と勇ましい声が上がる一方、「やはり米軍抜きには国は守れない」という呟きも聞こえてくる。いずれにせよ、軍事力は国民を守るという建前にしか目を向けていない。
大きな被害をもたらしてきた歴史があるのも事実だ。それを告発しているのが、高里鈴代著『沖縄の女たち 女性の人権と基地・軍隊』である。軍隊という男性中心の組織では、性のはけ口を駐留地域の女性に求め、人権よりも組織の論理が優先されることもあり、性犯罪は軽く扱われる傾向があった。しかもほかの犯罪に比べ、性犯罪は被害者が声をあげにくいため表に出にくい。復帰前の沖縄のように貧困層の多い地域では、他の仕事に比べ確実に高い収入が得られる性産業に女性が向かわざるを得ず、客との間に入る仲介業者からも搾取される構造が生まれた。
沖縄探見社編『基地と性暴力』も、沖縄における基地と性暴力の歴史について解説している。(T)
※高里鈴代著『沖縄の女たち 女性の人権と基地・軍隊』は当サイトで販売中。本の価格や状態は「沖縄の社会・歴史」の<女性>コーナーでご確認ください。沖縄探見社編『基地と性暴力』の詳しい内容については「沖縄探見社の本」コーナーで説明しています。ご注文は「お問い合わせ・ご注文」コーナーへ