来如雀・渡嘉敷錦水著『歓楽郷 辻情話史集』
王国時代から沖縄戦で破壊されるまで続いた沖縄の遊郭・辻は、歴史の表舞台には現れにくいが、深い愛憎劇を繰り返しさまざまな人間模様が刻まれてきた舞台。専門家の見解から市井に伝わる噂まで多面的に情報を集め、全400ページを超える大作になっている。歴史や変遷、行事、決まりごとなど地域の概略を研究者の視点から論じる一方、地域にまつわる怪談、琉歌、伝説、エピソード、料理なども紹介し、全体的に気軽に手に取れる読み物になっている。付録として、伊波普猷の「琉球の売笑婦」や中山太郎の「売笑三千年史」などの論文も掲載されている。(T)
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