太郎を驚嘆させた沖縄の芸能 「沖縄文化論」
『岡本太郎の宇宙4 日本の最深部へ』より⑪
11月14日の投稿では、沖縄の三線演奏に対してかなり厳しい表現を使ったことを紹介したが、一方、踊りについてはかなり好意的である。著者はアーティストとして知られ、感性だけで決めつけるような印象を持つかもしれない。
しかし、本書で祭りや芸能について語る時は歴史や文化に関してかなり深く下調べをするのはもちろん、自分が専門とする芸術や文化以外についても日頃から関心を払って見分を広め、専門家や関係者の意見に耳を傾け専門書に目を通していることが文面から分かる。十分な知識や経験を重ねた上で独自の感性や視点から意見を論理的に組み立てている。
沖縄の踊りについては日本舞踊や西洋舞踊と比較し、特に腰や目、手などの動きを詳細に分析し「根源的なものから発している感じがする。(中略)身体がリズムにのって動きだすような、なまものがある」と評する。
沖縄県内各地の芸能を集めた民俗芸能大会を見て「こんな小さな島の中に、どうしてあんなに数多く、豊かに残っているのか。日本全体だって、これだけ集めようとしたら容易じゃないだろう。狭い沖縄のすみずみに、ぎっしり、こんなのがひそんでいるということだ」と驚嘆する。

この記事に添えた写真は本文中でも著者が触れた「南島踊(ふえーぬしま)」。世界各地の踊りからさまざまな要素を取り入れ伝えてきた沖縄芸能の多様性を示す実例として紹介している。

