薬の過剰投与という新たな視点 和田秀樹著『「高齢者ぎらい」という病』②

 年をとれば精神的にも肉体的にも衰え病気にかかりやすくなる。すごく分かりやすい常識である。「高齢者は社会のお荷物」が広まる原因の一つとして、高齢者の運転=危険という刷り込みがメディアによって広められていることを3月2日の投稿で紹介したが、医療費の負担増も高齢者が「社会のお荷物」とみられる大きな要因だ。しかし、この点についても著者は意義を唱える。

 医師の視点から「臓器別診療」が薬の過剰投与を招く原因になっていると指摘する。「呼吸器科」「循環器科」「消化器科」など臓器別に診断し薬を処方する現在の仕組みは、若い人に対して合理性はあるものの、複数の疾患を抱えることが多くなる高齢者にとって薬の過剰投与になりがち。副作用のリスクを伴うだけでなく、国の医療財政に大きな負担増を引き起こす。高齢者による暴走事故も薬の過剰投与による可能性もあるという。専門科別に分断された「臓器別診療」から全身を総合的に診る「総合診療」へ舵を切る必要性を著者は説く。

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