コンビニから逃れられない時代

 もし自分がコンビニについて書いたら、どんな文章になるだろうか。コンビニはマニュアル化時代の典型であり、かなり批判的な内容になるだろう。コンビニは基本的にどこへ行っても同じであり、パターン化した批判になりがちである。その点、芥川賞を受賞した村田沙耶著『コンビニ人間』は新しい感覚の小説と思う。パターン化した人間図式を感じる面もあるが、生の人間の息遣いも浮き上がってくる。おそらく、何かのニュースで聞いたが、著者は実際に長い間コンビニでアルバイトをしてきた経験があるからだろう。コンビニの持つ恐ろしさとともに、その魅力に抗しきれない自分を客観的に俯瞰している。無意識のうちに他人と歩調をそろえ安心と安定を得て、マニュアル化の心地よさにひたる時代を再確認せざるを得ない。(T)

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