活発な沖縄の出版活動

 十数年前、沖縄に移り住んでまず注目したのは、出版活動の盛んなところだった。地方出版の本といえば、「郷土の本」など、どこか趣味的なネーミングをかぶせられ、売り場の片隅に縮こまっているイメージだが、沖縄の書店では、入り口から近い目立つところで、けっこう大きなスペースを占める。比較的大きな書店となれば、いくつもの棚にずらりと地元出版社の本ばかりが並ぶ。

 しかも、地元の立派な産業であると自己主張するかのように「沖縄県産本」と名づけられている。県内出版社の数は、同業者でつくる「沖縄県産本ネットワーク」の加盟社だけでも20社を超え、ネットワークにかかわらない社を含めれば、おそらく30社以上となろう。130万人余りという人口規模からすれば、明らかに多いだろう。

 周りを海に囲まれ、他府県と隔てられた地理的条件によって、出版文化も自給に近い体制が長年続いたせいもあるだろう。読み手に近いところで生活している出版人でなければ、読み手の求める本をつくれないという意味である。加えて、沖縄の独自の歴史的経緯もあろう。琉球王国、沖縄戦、基地問題、空手など沖縄独自のテーマが豊富である上、長年芸能の島といわれるように自己表現の場を求める人が多いことも考えられる。 

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