沖縄・首里で芸能と差別を考える

 時間つぶしに都市モノレールに沿って、首里駅から石嶺駅に向けて歩いていると、交差点の角にある説明版に目がいった。琉球王国時代、王府・首里のはずれにあった安仁屋村の跡という。念仏者や京太郎を行う人々が住んでいたらしい。念仏を唱えたり芸能に携わったりした人々である。安仁屋村のことはなんとなく耳にして気になっていた。

 芸能は本来、神にささげるものであり、多くの人々の注目を集める華やかさがある。その一方、本土で長い間、芸能を演じた人々が差別されたように、沖縄でも芸能者たちは蔑視され続けた。現世の汚れや歪みとかかわるとみなされるせいか、神に近く目立つ分やっかみが含まれるのか。いずれにせよ、平々凡々と穏やかな暮らしを送る私から想像できないような、想念の塊を背負って生きたのだろうが、現在の風景からは、その気配の一片も感じることはできない。(T)

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