慰霊の日に再び流れる根拠なき楽観論

 今日(6月23日)は、実質的に沖縄戦が終結したとされる慰霊の日である。それから76年が経過し、沖縄が再び戦争の渦中に巻き込まれる危機感が弱まったとはいえまい。中国や北朝鮮との緊張が高まる中、沖縄は国境に近い場所に位置し、米軍基地を多数抱え標的になりやすい。これに加え、東京五輪大会などをめぐる新型コロナ対策で政権内に「根拠なき楽観論」を相当巣くっていることが明らかになったことは不安を煽る。

 専門家や医療従事者から、東京五輪大会をめぐり相当な反対意見や批判がありながら、政権は当初の方針である有観客開催を貫こうとする。開催してもどうにかなるだろう、何かあっても言い逃れできるだろうという「根拠なき楽観論」としか思えない。これは、沖縄戦当時、日本軍部にあった「根拠なき楽観論」に極めて似ている。戦力の大半を失ったにもかかわらず、本土決戦に持ち込めば形勢を逆転できる。そのためには、沖縄で米軍を少しでも長く引き留め、本土決戦の準備を整える必要がある。こうした「楽観論」は、沖縄戦において勝敗が明らかにもかかわらず、戦闘を長引かせ民間の被害を大きくする要因となった。(T)

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