縮みゆく世界 コロナ後を憂う

 年末から急激な勢いで感染が再び広まるのを見るにつけ暗い気分が増す。経済的な打撃だけでなく心理的な影響も深まる気がしてならない。私たち社会の一人ひとりが自分の殻に閉じこもる時間が長くなるにちがいない。

 これは今に始まったことではない。戦後、日本が高度成長を遂げる中で、子供たちは住宅事情が改善して誰にも邪魔されない個人スペースを築いてきた。さらに、さまざまな玩具、ゲーム、テレビ、ラジオ、音響機器も与えられ、一人の時間を退屈することなく過ごせるようになった。仲間で集まって野山を駆け回ったり空き地で野球やサッカーをしたりする必要はない。

 仲間の中には気に入らない者や付き合いづらい者も交じることを考えれば、だんだん一人でいる時間を好むようになる。社会を成り立たせる公共心や共同体意識にほとんど触れずプライバシーばかりが強調されれば、これに拍車がかかる。スマホの存在も大きいだろう。いつでもどこでもお好みの情報や画像を手に入れられ、電話をかけることなく手軽に仲間とメッセージのやりとりができる。

 こうした傾向に決定打を与えかねないのが新型コロナだろう。感染予防を理由にして、面倒な会合やつきあいはもちろん、通常の仕事で顔を合わせることも省くことが可能になる。こうした流れを逆方向に変えることは不可能だろう。従来とは異なる形でコミュニケーションの場を設けていくしかあるまい。仕事に直接関係なくても、いろいろな人間と顔を合わせることを重ねることによって、他者とつながる喜びと煩わしさを覚えてコミュニケーションの技術を磨く。新たな自分を発見し人生と社会の意味を実感する。

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