豊富な写真と平易な文章で神事を再現 宮城鷹夫・石井義治著『白装束の女たち』

 イザイホウは、久高島で12年ごとに催される沖縄の代表的な古代神事だ。島に住む30歳から70歳までの全女性が参加し旧暦の11月15日から5日間にわたってさまざまな神事が繰り広げられる。本書は、島を訪れ直接見聞きした1954年と1966年のイザイホウについて、各場面で唱えられるオモロ(神歌)も含め神事の内容を詳細に解説する。

 著者の宮城氏はジャーナリスト出身のため、文章は一般の読者にも親しみやすい。主要な場面には多くの写真が掲載されるが、白装束の女性たちが居並ぶ光景は神事の荘厳さを伝える。このほか、関係写真とともに島の年中行事や島民の暮らしについてもコンパクトに紹介している。画家の岡本太郎氏、国立文化財研究所の三隅治雄氏、琉球大学教授の湧上元雄氏による座談会も掲載し、イザイホウを多面的に理解するのを助ける。

 ちなみに、イザイホウは1978年を最後にこれまで実施されていない。島の過疎化が原因といわれるが、この壮大な神事が途切れることを惜しむ声は小さくないだろう。何とか形を変えてでも継続してもらいたいという気持ちもあるが、芸能とは異なりそれができないのが神事の重みなのかもしれない。(T)

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