新冷戦時代、沖縄は憎悪と攻撃の対象か 安田浩一著『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』①

 本書では、著者が沖縄の新聞で働く記者を中心に取材している。沖縄に集中する米軍基地によって何が起きているか追い続ければ、基地に対して批判的にならざるを得ない現実が浮かび上がる。では、なぜ沖縄の新聞が「偏向」していると呼ばれるようになったのか。

 沖縄をめぐる環境が大きく変わったせいだろう。中国や北朝鮮が安全保障上の脅威としてクローズアップされるようになり、その脅威に対抗する米軍基地を阻む沖縄の反基地運動は憎むべきものという考えが広まっている。本書でも指摘するように、ネットによるアンチ沖縄やアンチ反基地運動が拡散した面は小さくないだろう。ネット上には真偽のほどが分からない情報が垂れ流されるが、平和的に冷静に対処するための情報よりも、誰かに憎悪をぶつけ攻撃する情報の方が往々にして受け入れられやすいようである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です