いつまで続くか?イベント型開発 多田治著『沖縄イメージの誕生』

 この「開発」手法は経済成長に一定の役割を果たしたのだろう。大型イベントを打ち上げることによって、インフラ整備が一気に進む。国際的な注目を浴び国内外から観光客を集め、関連商品の売り上げを一挙に押し上げる。しかし、成熟期というか老成期に入った日本ではどうか。イベントはより大型化する中、厳格な日程進行のもとでは無理な開発や強引な計画が推し進められやすい上、価値観の多様化した現代では国際的なイベントだからといって以前のようにみんなが多くの出費をするか、国民の一体感が強まるとか期待できるのか。

「夢をもう一度」と高度経済成長時代の「成功」が忘れられない人々は、2021年の東京五輪や2025年の大阪万博などお祭り・イベント型の「開発」を続けようとするが、ご存じのとおり負の側面ばかりが目立つ。もうそろそろ、こうした開発による負と正の効果を冷静に分析し検証する必要があろう。(T)

 戦後日本は、1964年の東京五輪や1970年の大阪万博といったお祭り・イベント型の「開発」手法を通じて、戦後復興から「経済大国」へ道筋を切り開いてきた。さらに、本書で焦点を当てる1975年の沖縄海洋博では観光立県沖縄の基礎が築かれ、脱工業化社会や観光・レジャー時代を引き寄せる1つのきっかけになった。海洋博会場跡には美ら海水族館などが建設され本島北部・観光の目玉になる一方、リゾート地にふさわしくないとして、本島中央に陣取る米軍基地や沖縄戦などの歴史は削ぎ落とされ「沖縄イメージ」が形成されてきた。

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