沖縄的やさしさの危機 大田昌秀著『沖縄人とは何か』

 この紹介文は基本的には以前の投稿からほとんど変わっていないが、今回、本書を「沖本屋」で販売できることになったので再掲する。

 本書は、著者が1970年代前半にハワイの沖縄人(系)を対象に実施した意識調査をもとに、アイデンティティーに関する考えをまとめたもの。出版された1980年は、沖縄がまだ本土復帰してまもなく、さまざまな面から「沖縄(人)とは何か」が問われた時期であり、本書にもこうした問いが深く反映されている。

 その後、他の都道府県と同様、沖縄でも地方色や地域性は薄まりつつあるが、やはり沖縄は日本で最もアイデンティティーを問う県民であることには変わりない。琉球王国の歴史や沖縄戦という歴史に加え、現在でも在日米軍の大半が集中する現実が「沖縄(人)とは何か」の問いを止めさせない。著者は沖縄人のアイデンティティーの重要な要素として、武力に訴えない「沖縄的やさしさ」を挙げている。

 本来ならば、地域ごとの特色や多様性の上に「日本人らしさ」が乗っかっているはずだが、近年、地域差を押しつぶし「日本人」ばかりを振り回す言論が目につく。しかも、他国に対して「毅然とした態度」「なめられない」に重きを置いて、「沖縄的なやさしさ」とは対極にある「勇ましさ」が強調されているように思えてならない。(T)

※本書は当サイトで販売中。本の価格や状態は「沖縄の自然・文化」の<文化論>コーナーでご確認ください。ご注文は「お問い合わせ・ご注文」コーナーへ

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