沖縄における仏教の影響

 島尻勝太郎著『近世沖縄の社会と宗教』は「近世沖縄の対外関係」「沖縄の外来宗教」「仲尾政次政隆の配流日記」の3部からなる。仲尾政次政隆とは琉球王朝末期、真宗布教によって流刑に処せられ、10年間八重山で過ごした人物である。

 この中で一番興味をひくのは、沖縄の外来宗教、特に仏教に関する記述だ。沖縄では庶民の宗教といえば、祖先崇拝といわれ、実際、戦後しばらく火葬ではなく洗骨葬(風葬)が一般的。また、近代以前でも肉食を忌み嫌う風潮もなかった。

 しかし、念仏者(ニンブチャー)による念仏歌を通じて、無常観、親孝行、祖先供養といった浄土の教えが広められ、仏教の思想は一部、沖縄の庶民にも浸透してきた。現代においても盛んなエイサーはもともと盆踊りに起源があり、念仏者や念仏歌の流れがエイサーにつながっているともいわれる。

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