農民10万と士族6万の琉球

 新屋敷幸繫著『琉球歴史物語』は、「サンデーおきなわ」に掲載された連載記事135本をまとめている。一つのテーマが見開きに収められ、記事は一般の人でも気軽に読めるコラム風に書かれている。歴史関係の論文ではないが、テーマは日本の奈良時代に相当する時期から、尚巴志による三山統一、第2尚氏の始まり、中国や日本との交流、琉球王国の終焉まで幅広く、琉球の歴史を概観できる。

 興味深い数々のエピソードが織り込まれているが、中でも目をひくのが琉球王国の財政状況を示唆する数字だ。「琉球処分」のために乗り込んできた明治政府の役人が調べところによれば、当時の王国は農民10万人が士族6万人を養っていた計算になる。加えて、東京に15人、大阪に25人、鹿児島に100人ほどが勤務するなど役所を維持するにも相当の費用がかかり、農民の負担は相当重かったとみられる。(T)

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