女性であることを嫌悪 川上未映子著『乳と卵』
前回の投稿に続いて女性作家の小説を読み、男の小説ばかり読んできたことに気づく。意識したわけではないが、男の身勝手さを責められることをひそかに恐れたのだろう。男女平等の世の中といっても、実際には今も男中心であることには変わりない。社会の仕組みから意識のあり方まで男の欲望が充満する。女性は男から性の対象にされ、子供を生み育てる役割を課される。だから、男は男という性を憎むことはないが、女性は女という性を憎むことが珍しくない。本書に描かれているとおりである。性の商品化は我が国の社会の隅々まで及び、たとえ小さな女の子も逃げることができない。(T)