慰霊の日とウクライナ侵攻
沖縄戦で実質的に組織的な戦闘が終了したとされる慰霊の日、6月23日が、まもなくやってくる。戦争を二度と起こさないことを誓う日のはずだが、今年は特に、平和をめぐる世界の状況が大きく変わったことは誰もが認めるところだろう。
いまだにロシアによるウクライナ侵攻が続き、例年にも増して戦争について考えさせられることは多い。ロシアのような国連常任理事国が武力行使に踏み出したショックは大きかった。さらに、対ロシア非難や制裁に加わらない国が相当数あることも予想外であり、世界の安定という面では大きな不安を覚えた。
しかし、冷静になれば非難や制裁に加わらないことにも一理あることに気づく。第二次世界大戦以降の紛争史をたどると明確だが、武力を行使する国々と、これに非難と制裁を加える正義の国々に単純に色分けすることはできない。米国のベトナム戦争や湾岸戦争など西側諸国も問題解決のために武力に訴え、日本はこれに非難も制裁を行わず、支持する行動をとってきた。
どの国も自分の手を汚していない正義の味方のように振る舞うことはできない。もちろん、だからといってウクライナ侵攻を肯定はできない。いったん悪と正義のレッテルはりをお互いにやめ、武力に訴えない紛争解決の手段を少しずつでも築いていくしかない。(T)