書店の激推しでつい購入 ダニエル・キイス著・小尾芙佐訳『アルジャーノンに花束を』①

 最近、書店の店員が手書きの文字で本の推薦文を書いて張り出すことが多くなっているが、あまり信用しないことにしている。本は個人によって好き嫌いが激しいから、店員と自分の好みが違う可能性が結構ある。何よりも、やたら感動や涙を強調する推薦文が目立ち、もうそれだけで白けてしまう。本書についても店員が一生ものの感動小説のように訴えていたが、タイトルに何かひっかかるものを感じて結局、購入することになった。

 実際読み始めると、「○○に花束を」という華やかなタイトルとは裏腹に、知識や知能を獲得することで人間は幸せになれるのかという重いテーマを扱うことに気づく。主人公は30歳を過ぎても幼児並みの知能しかない男性だが、手術によって徐々に知能が向上していく。現代の日本ならば各方面からの異論や批判を恐れて小説やドラマになりにくいテーマだろう。それを本書は真正面から挑んでいる。

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