狛犬とシーサーの境界線は? 荒勝俊著『日本狛犬大全』

 沖縄に来るまでは狛犬に注目することがなかった。神社に行けば必ずある一方、暮らしの中では身近な存在でない。どの神社の狛犬がどうかとか、どの地域の狛犬にどんな特徴があるかなど関心を持つこともなかった。ところが、沖縄に来てからは「シーサー」という聞き慣れない単語の響きから、実物を目にするたびに注目するようになった。首里城の入り口から、村落の入り口や高台、一般民家の門や屋根、企業マスコット、お土産品と生活の至るところにシーサーは偏在し、それぞれ異なる姿や表情を見せる。

 起源は狛犬と同じと聞くが、違いはどこにあるか。そう考えるうちに出会ったのが本書。全国各地の狛犬を写真付きで紹介している。改めて各地の狛犬がどのような姿形か比べると、シーサーに負けず劣らず多様であり興味深い。ぱっと見た印象では狛犬とシーサーの明確な違いはないように思える。狛犬は神社を守るために置かれ、シーサーは首里城などでは権威の象徴として、村落や個人宅では火除けや災難除けとして設けられるなど目的が異なるようだ。

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