意外に強くなかったヒーロー?

 ちょっと前に、ウルトラセブン・シリーズの「ウルトラ警備隊西へ」を見る機会があった。ロボット怪獣「キングジョー」とウルトラセブンが対決する回だが、「あれれ……」と思った。2人が対決する2度の場面のうち2度ともウルトラセブンがキングジョーに一方的に痛めつけられたからだ。

 正義の味方が悪役をあっさり倒すだけでは面白くない。プロレスなどでも正義のレスラーが最初は悪役の攻撃に苦戦する。途中から正義の味方が反撃し悪役を叩きのめして逆転し観客はスカッとした気分になる。ところが、「ウルトラ警備隊西へ」では最後までウルトラセブンは反撃できず、ウルトラ警備隊などが開発した新兵器でキングジョーを倒す。

 子供の頃の自分にとって間違いなくウルトラセブンはヒーローだった。ウルトラセブンの人形で遊んだ記憶がある。シリーズの毎回のストーリー展開がどうだったか、子供の自分がどういう思考をしていたか記憶にないが、不甲斐なさをさらしながらも戦うウルトラセブンの姿をヒーローとして認めていたことは間違いない。これは自分に限ったことではなく、当時の同年代の子供にも人気があったことを考えれば同じ心境だったはずだ。今から振り返ると、子供には難しすぎると思ってもそれなりに理解していたのだろう。

ちなみに「ウルトラ警備隊西へ」の脚本は、沖縄県出身の金城哲夫が担当した。子供向けだとしても単純な勧善懲悪ばかりでは飽きられる。複雑なヒーロー像でも子供は受け入れられる。そう信じていたのだろう。彼はウルトラマンの脚本も手掛け、「怪獣ブーム」に一役買っている。

 那覇市・国際通りの那覇てんぶす前に設けられた大型LEDビジョンでは、頻繁にウルトラマンの映像が流れた時期があり、中国人観光客がよく足を止めて見入っていた。ウルトラマンは中国でも人気があるらしい。金城哲夫が手がけたヒーローは海外でも好まれているようだ。著作権の関係もあり簡単には使えないのだろうが、ウルトラマン、ウルトラセブン、金城哲夫をもっと継続的にアピールする方法を実現できないだろうか。

 

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