米国の分断と沖縄
各テレビ局とも11月4日は、米国大統領選について大々的に報道していた。米国大統領に誰がなるかによって日本も大きな影響を受けるとか、選挙は結果が数字で表れ勝敗が分かりやすいとか、トランプ大統領という独特なキャラクターがテレビ映えするとか、理由はいくつも挙げられよう。いずれにせよ、所詮は他国の選挙。もともと日本人があれこれ口を出せるものではないせいもあり、番組内には、対岸の火事のように「米国はいろいろ大変だね~」と他人事のようなムードが漂う。
しかし、本当に他人事なのだろうか。日本国内には、伝えるべき問題はないのだろうか。たとえば、「国民の分断」。米国では自分の意見や信条を積極的に明らかにするから「分断」が目に見える形になるが、日本ではそういったものは見て見ぬふりをするか、目立たないように覆い隠す。隣国とどう向かい合うべきか、など安全保障の問題は、国民の間に大きな溝が生まれつつある。だが、さまざまな面で国民の負担や危険につながりかねないから、とりあえず安全保障や外交は米国頼りにして、基地負担は多くの国民の目に触れにくい沖縄へ押し付けたままである。
同じ4日、国内の政治ニュースは、日本学術会議の任命をめぐる菅首相の答弁をそのまま報じたくらい。独自にそれぞれのメディアが掘り下げる姿勢は見られない。外国政治についてはあれこれ問題点を指摘していたのに、国内政治については途端に口をつぐむと批判されないように、深みのある活発な報道を期待したい。(T)