獅子舞の源流には鹿や猪も? 稲村行真著『ニッポン獅子舞紀行』①

 獅子舞は日本国内で最も広く演じられる民俗芸能といわれ、本書は沖縄を含め国内各地の獅子舞をカラー写真付きで紹介している。まず興味をひいたのは、獅子舞の起源に関する解説である。それによれば、日本国内でもともと「シシ」とは鹿や猪を意味する。初期の頃は死んだ獣を被って踊り、獣を供養したり獣の生命力を取り込んだりしようとしたらしい。そこへ、ライオンを模した霊獣「獅子」が舞う芸能が大陸から渡り、日本固有のシシ踊りに合流して現在の獅子舞になった。獅子舞が持つ「祓い清める」という性格が日本人の心情に重なり広まったのではないかと指摘する。かつてアーティスト・岡本太郎が日本再発見の旅をしながら日本人の本質を「穢れなき清浄さを求める心」に見出したことを思い出した。

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