忘れてはならないハンセン病の記憶

 連日、新型肺炎をめぐる報道がテレビのニュースを騒がせているが、これまでにない感染病というところに怖さがあるのだろう。どのくらいの感染力があり、一般の人をどれほどの確率で重症に追い込む力があるか、正体が見えにくい。となれば、とにかく感染者を隔離し封じ込める方向に世論は傾きがちである。

 しかし、一方で感染者の立場からすれば、隔離は行動の自由が奪われ人権を侵されることになる。さらに感染に対する恐怖が強まれば、感染者は社会の害悪とみなされ差別も強まる。かつて感染病対策で我が国は大きな過ちを犯したことを忘れてはならない。ハンセン病は感染力が弱いにもかかわらず、感染への恐怖から患者を何十年にわたって世間から完全に隔離し、避妊手術も強制的に受けさせられた。『沖縄県ハンセン病証言集』を読めば、感染した人たちがどれだけ人権を奪われ差別されたかが身に染みて分かる(T)。

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