日本列島の多様性はどこに? 『ヤポネシア考 島尾敏雄対談集』①

 沖縄の戦後史に関する書物を調べていると、時々目にする「ヤポネシア」という言葉が気になり、『ヤポネシア考 島尾敏雄対談集』(1977年初版)を読んだ。本書では、奥野健男、石牟礼道子、大城立裕、谷川健一、司馬遼太郎といった評論家や作家と対談を重ねながら、日本の各地域が抱える独自性について意見を交わす。日本という一語では収まりきらない多様性が地域ごとにあり、ミクロネシアやポリネシアのように、島々の集合体をイメージさせる「ヤポネシア」にたどり着いたようだ。ただ、対談が行われたのは1960年代から70年代にかけての時期。現代の日本ではその多様性はかなりの部分、失われているかもしれない。(T)

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