祭祀の向こうに見える村の信仰と歴史   津波高志著『沖縄社会民俗学ノート』

 本書は、沖縄本島の村を訪れ祭祀の儀礼や組織を詳細に調べた記録である。専門的な記述が多く、素人の私には理解できない部分があるものの、近隣区域の祭祀において、神役らの座り方を比べることで村の歴史や成り立ちを推察するなど興味深い点も少なくない。古い沖縄の人びとの信仰や精神は、心の内側の世界だけになかなか明確に語ることは難しいものの、祭祀という目に見える形から、ある程度推し量れるのかもしれない。

 非常に個人的な印象だが、本書で調査地区の一つに挙げられた名護市川上地区が気になった。何年か前、同地区で上演された「操り獅子」を見に行ったことがあるからだ(右下写真)。沖縄では通常、獅子舞は中に人が入り演じられているが、「操り獅子」は糸で吊って操る。これが伝承されているのは、県内では同地区を含め3地区のみといわれる。地元の研究者によると、江戸時代末期、同地区に移り住んだ首里出身者が操り獅子を創作した。たまたまとは思いながらも、本書で神役の座席配列について「そこには首里王朝的匂いの濃い三分性が認められるといえなくもない」との記述と関連づけたい気持ちになる。(T)

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