琉球史の魔力に魅せられて

 琉球王国は人口十数万程度の時代が長く続いた小国だが、多くの研究者がその歴史の謎に取り組んできた。琉球史には日本との関係では家康や秀吉など数々のビッグネームが関係し、中国や日本といったアジア諸国に始まり、幕末近くになるとペリー将軍が上陸するなど欧米諸国ともかかわり、世界史の流れが深く投影されるダイナミックな展開の一方、沖縄戦などによって多くの記録や文化財が失われたせいもあり解明されていないところが多いのも魅力だろう。

 『ほんとうの歴史を伝えたい』の著者・太田良博氏も、そんな琉球・沖縄史に魅せられた。同氏は新聞社や放送局勤務の傍ら研究を続けた成果の一つが本書であり、薩摩藩による支配と明治政府による琉球処分を中心に論じる。沖縄出身者ならば薩摩藩支配のマイナス面を強調しがちだが、プラス面も併記し歴史を客観的に評価しようとする姿勢を保つ。また、名だたる琉球史の研究者にも論拠を挙げながら果敢に挑み、「ほんとうの歴史を伝えたい」という情熱が垣間見られる。(T)

※本書は当サイトで販売中。本の価格や状態は「沖縄の社会・歴史」の<琉球王国時代>コーナーでご確認ください。ご注文は「お問い合わせ・ご注文」コーナーへ

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