沖縄で路地裏の魅力を探る 仲村清司・藤井誠二・普久原朝充著 『沖縄 オトナの社会見学 R18』

 広々とした空間で、新しく清潔なモノばかりに囲まれていれば、心が落ち着くかといえば必ずしもそうでない。1人か2人くらいがようやく通れるくらいの幅の道が迷路のように入り組み、両側には古ぼけた家々が立ち並ぶ。生活する人々の時間もゆったりと流れる。例えるならば、使い古して少々汚れがついたくらいの枕やタオルケットが肌になじむ心地よさだろうか。歳月の経過と人々の生活の匂いも染み込いているのかもれしれない。

 古びた昭和の雰囲気を漂わせる那覇の路地裏について、多くの人々が魅力を感じても、その魅力を具体的に言葉で表すことは容易ではない。琉球王国時代の城郭や古民家とは異なり、建物や路地が生まれたのは戦後であり、特に文化財的な価値をつけることは難しい。しかし、いったん失われたら、もう再現することはほとんど不可能であり、現在、再開発の名のもとに消えつつある。こうした路地裏の魅力について真正面から取り上げようとしたのが本書である。(T)

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