基地関連工事で潤う本土企業(下)

3月31日の投稿では沖縄防衛局が発注する工事の半分前後は本土企業が受注したと指摘したが、米軍が発注する工事はどうだろうか。長期にわたって網羅した統計はないが、断片的に明らかになる数字では半8分をはるかに超えて本土企業が受注した時期が少なからずある。

琉球銀行調査部『金融経済 1955年10月号』によれば、米軍工事請負契約高における沖縄企業と本土企業の比率は以下のとおりだった。

                                                    (単位:%)

沖縄企業本土企業その他
1950年18811
1951年2.7898.3
1952年17.471.611
1953年35.13826.9
1954年29.457.513.1

  米軍基地の建設が活発化した1950年代前半は、受注高で本土企業が沖縄企業を大きく上回っていたことが明らかである 。

 また、近年も本土企業の受注が高まる傾向がみられる。琉球新報社『ひずみの構造 基地と沖縄経済』によれば、2000年代に入り米軍基地関連工事は発注額が100億円を超えるようになり、県内企業は入札さえ参加が難しくなったという。米国内法では連邦政府の10万ドル以上の工事については入札金と同額の保証金(ボンド)を求められるが、資金力の乏しい県内企業では100億円を超えるボンドを積むことはほとんど不可能だからだ。本土企業の下請けや孫請けに入る県内企業があるものの、工事単価が安く割に合わないという。

 沖縄タイムス2011年6月15、16日付も同様の指摘をしている。米軍の工事発注額は年間700億円から800億円といわれるが、県内企業による受注額は10~15%にとどまり、ほとんどが少額工事。10年間で総額665億円に上った嘉手納基地の住宅改修工事では、96%を本土企業が占めたという。

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