沖縄を離れて考えた地方創生
故郷に帰る途中に千葉県銚子市に初めて立ち寄った。かつては高校野球で知られた銚子商業や全国的にトップレベルの漁獲高を誇る漁港のイメージがあったからだ。ところが駅前商店街や漁港の周辺を歩くと、人通りが少なく寂しい雰囲気が漂う。漁港近くの食堂で店主と話すと、魚が獲れなくなっていると嘆く。
そんな中で唯一活気を感じたのは銚子電鉄。営業区間わずか6.4キロ、10駅しかない小さな鉄道だが、「ぬれ煎餅」や駅名のネーミングライツなど売れるものは何で売ろうとする営業努力はメディアでもたびたび報じられている。実際に乗ってみると、銚子電鉄の名前を聞いて各地から訪れたらしき人々の姿が少なくなかった。20代くらいの若い車掌が忙しそうに車内を行ったり来たりしていた。
どこの自治体や団体も銚子電鉄をまねるというわけにはいかないにしろ、地方の活性化のカギは、アイディアを生み出し実行する人材に尽きるのだろう。沖縄も見習うべきところがあるだろう。もともと観光資源に恵まれる沖縄は、放っておいても観光客が来てくれるため、新しいアイディアや計画が出てこないという面がないか。例えば、昭和のムードが残る公設市場(那覇市)は老朽化が進んだとして施設の建て替えが順次実施されているが、レトロな雰囲気に代わる商店街の魅力づくりが進んでいるか。石破新政権のもと「地方創生」資金を大幅に増やそうとするらしいが、どんな資金の使い方をするか方向性を決めなければ、過去の政権が「創生」「活性化」の名のもとに金をばらまき施設や設備だけが増えて維持経費の負担が膨らむという過去の二の舞になりかねない。
(上の写真:銚子電鉄、下の写真:犬吠埼)