2025年3月3日 / 最終更新日時 : 2025年3月3日 okihon-ya 本の紹介 壮絶な在日朝鮮人の戦前・戦後史 梁石日著『血と骨(上・下)』③ 凶暴で自己中心的な金俊平の存在は上巻の後半部分から徐々に薄くなる。このままフェードアウトするのかと思えば、ぱっと現れて人助けに走る一方、家族に対して激しい暴力をふるう。そして、いままでとは打って変わり突然、独自の事業に […] 共有:TwitterFacebook
2025年2月21日 / 最終更新日時 : 2025年2月21日 okihon-ya 本の紹介 宗教の向こうに荒廃した地方 高取正男著『宗教民俗学』① 本書の最初に登場する「幻想としての宗教」が興味深い。宗教は単に人間の頭の中にあるだけの幻想と断じるのではなく、近代以前の日本に関する記録から宗教が生まれる過程の仮説を裏付けようとしている。特に農村はたびたび飢饉に襲われ […] 共有:TwitterFacebook
2025年2月15日 / 最終更新日時 : 2025年2月15日 okihon-ya 本の紹介 正義を根本から揺るがす時代 ベンジャミン・クリッツァー著『モヤモヤする正義』① もともと一点の曇りのない正義など存在しないのだろう。しかし、近年の社会問題をめぐる議論では、ほとんど揺るぎないと思われた「正義」が揺らぎ始めた。1つにはネット社会の到来が大きいだろう。これまでは新聞、雑誌、書籍などの紙 […] 共有:TwitterFacebook
2025年2月9日 / 最終更新日時 : 2025年2月9日 okihon-ya 本の紹介 弾圧された朝鮮出身者の社会運動 梁石日著『血と骨(上・下)』② 1930年代の大阪を舞台とする本書の最初では、己の欲望のままに行動し暴力を振りかざす金俊平にあくまでも焦点を当てて物語が進むと思っていると、途中から日本で生活する朝鮮出身者の社会全体についても語られるようになる。特に注 […] 共有:TwitterFacebook
2025年1月26日 / 最終更新日時 : 2025年1月26日 okihon-ya 本の紹介 行動で観念を打ち破る 三島由紀夫著『金閣寺』③ 情報化社会の現代では、ネットで集めた情報で観念の世界を築きその中に籠る危険性をはらんでいる。本書の主人公はネット社会とは異なるものの、吃音を引き金として劣等感の積み重ねで観念の精緻な世界を組み立て孤独の世界にどっぷりひ […] 共有:TwitterFacebook
2025年1月19日 / 最終更新日時 : 2025年1月26日 okihon-ya 本の紹介 自己の肯定と否定の危険な関係 三島由紀夫著『金閣寺』② 友人や家族との安易な慣れあいがよいとはいえまい。肉体的な劣等感や生い立ちのせいもあり、心に高い壁を設け孤独に籠る。独特の感性と思考を研ぎ澄ませ、内側に精緻な理論と美的世界を組み立てる。自分は決して他人に理解されない。そ […] 共有:TwitterFacebook
2025年1月12日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 okihon-ya 本の紹介 圧倒的な暴力と無慈悲 梁石日著『血と骨(上・下)』① 最近は主人公が読者の共感を呼ぶ小説が多いように思えるが、本書の主人公は出だし部分を読む限り、それとは対極にある。しかも心理描写はほとんどない。ひたすら暴力的であり、自分の欲望のままに行動し爆発的に破壊の限りを尽くす。相 […] 共有:TwitterFacebook
2025年1月4日 / 最終更新日時 : 2025年1月4日 okihon-ya 本の紹介 生活に身近な沖縄のシーサー 荒勝俊著『日本狛犬大全』② 本書では全国に分布する狛犬の写真を掲載しているが、私のような素人が見ただけでは地域による違いはもちろん、沖縄のシーサーと県外の狛犬の間に形状の違いについて語ることは難しい。だが、それぞれを地元の人々がどう受け止め方の違 […] 共有:TwitterFacebook
2024年12月28日 / 最終更新日時 : 2024年12月28日 okihon-ya 本の紹介 ヤマタノオロチと獅子舞 稲村行真著『ニッポン獅子舞紀行』③ 時間は同じ場所を同じように繰り返し流れるうちに淀み腐敗する。時折、獅子のような魔物が舞い降りてかき乱すことによって清められる。こうした考えは日本人の心情に受け入れやすく、獅子舞は国内で最も広く継承される民俗芸能の一つに […] 共有:TwitterFacebook
2024年12月14日 / 最終更新日時 : 2024年12月14日 okihon-ya 本の紹介 行間に溢れる破滅の予感 三島由紀夫著『金閣寺』① 来年は三島由紀夫生誕100年。最近メディアで三島に関する記事を時々見かけることもあって、思い出したように最近『金閣寺』を読み始めた。学生時代、一度手にとった記憶はあるが、途中で読むのをやめた。内容はほとんど印象に残って […] 共有:TwitterFacebook