2024年11月20日 / 最終更新日時 : 2024年11月20日 okihon-ya 本の紹介 喪失や衰退をどう受け入れるか ダニエル・キイス著・小尾芙佐訳『アルジャーノンに花束を』② 本書は、知的障害を持つ主人公が手術を経て急激に知能を獲得し喪失していく物語だ。これは知的障害者に限らず誰しも経験する過程だろう。幼児から青年にかけて知識や知能を獲得し、老いるに従ってそれらを失う。これがきわめて短い期間 […] 共有:TwitterFacebook
2024年11月16日 / 最終更新日時 : 2024年11月16日 okihon-ya 本の紹介 他者の孤独を聞き自分の孤独を救う 町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』 世間によく出回るようになった「絆」という言葉を聞くと少々警戒する。絆は場合によっては「柵(しがらみ)」になりかねないからだ。「絆」と「柵」の違いは存在する。相手の心にきちんと向き合い行動すれば「絆」になりうるが、相手の […] 共有:TwitterFacebook
2024年11月14日 / 最終更新日時 : 2024年11月14日 okihon-ya 本の紹介 狛犬とシーサーの境界線は? 荒勝俊著『日本狛犬大全』 沖縄に来るまでは狛犬に注目することがなかった。神社に行けば必ずある一方、暮らしの中では身近な存在でない。どの神社の狛犬がどうかとか、どの地域の狛犬にどんな特徴があるかなど関心を持つこともなかった。ところが、沖縄に来てか […] 共有:TwitterFacebook
2024年10月25日 / 最終更新日時 : 2024年10月25日 okihon-ya 本の紹介 書店の激推しでつい購入 ダニエル・キイス著・小尾芙佐訳『アルジャーノンに花束を』① 最近、書店の店員が手書きの文字で本の推薦文を書いて張り出すことが多くなっているが、あまり信用しないことにしている。本は個人によって好き嫌いが激しいから、店員と自分の好みが違う可能性が結構ある。何よりも、やたら感動や涙を […] 共有:TwitterFacebook
2024年10月19日 / 最終更新日時 : 2024年10月19日 okihon-ya 本の紹介 病と健常の曖昧な境界線 兼本浩祐著『普通という異常』③ 本書の後半では次の3つのタイプの人間を登場させ比較する。病と健常の境界線に問題定義をするためだろう。 この3つのち一般的には<1>自分の関心事没入型は病気に分類されることが多く、他の2つのタイプは健常に含められる。没 […] 共有:TwitterFacebook
2024年10月12日 / 最終更新日時 : 2024年10月12日 okihon-ya 本の紹介 戦争に打ちのめされる日系二世の心情 下嶋哲朗著『比嘉トーマス太郎』① 食糧難にあえぐ終戦直後の沖縄へ豚550頭を船で送る物語「海から豚がやってきた」はミュージカルになるなど知られるようになったが、こうした沖縄救済活動の中心人物の一人がアメリカ・ハワイの日系二世・比嘉トーマス太郎。本書の主 […] 共有:TwitterFacebook
2024年10月5日 / 最終更新日時 : 2024年10月5日 okihon-ya 本の紹介 実体の探求よりも「いいね」を求める時代へ 兼本浩祐著『普通という異常』② 本書のタイトルにあるように「普通」が異常さを増すのは時代が変化していることが背景にある。それは「第4章 昭和的『私』から『いいね』の『私』」で紹介しているボードリヤールの分析に集約される。第1段階は、本物というものが存 […] 共有:TwitterFacebook
2024年9月25日 / 最終更新日時 : 2024年9月25日 okihon-ya 本の紹介 忖度社会化の先に幸せはあるか 兼本浩祐著『普通という異常』① 特にわれわれ日本人は「普通」という言葉を好む。本書のサブタイトルは「健常発達という病」である。「普通」や「健常発達」を口にする時、何も問題がないとしがちだが、実は何らしかの異常を含んでいるのではないか。著者はそう問いか […] 共有:TwitterFacebook
2024年9月20日 / 最終更新日時 : 2024年9月20日 okihon-ya 本の紹介 地球の反対側でも戦争の悲劇 大城立裕著『ノロエステ鉄道』 戦争は残酷である。日本から遠く離れた国に移住した人々も戦争の悲劇に巻き込む。そんな事実に光を当てたのが本書である。最初の移民船である笠戸丸でブラジルに到着した沖縄出身の夫婦が主人公だ。短編小説であるが、モデルとなる実在 […] 共有:TwitterFacebook
2024年9月11日 / 最終更新日時 : 2024年9月11日 okihon-ya 本の紹介 救いのない若者たちの未来? 桐野夏生著『メタボラ』④ 以前読んだ同じ著者の『OUT』はストーリー展開が破滅的なものの、どこか希望を感じる結末だったが、本書は希望のかけらも見当たらない。主人公の香月雄太は生真面目な振る舞いをしながらも、時として自ら破滅に向かうほど狂気的な行 […] 共有:TwitterFacebook